大学生がパラ卓球の選手に取材に行ったら、ラリーさせてもらえた!
パラリンピックをたくさん見たことがあるわけじゃないけど、身体に障がいがある人が出場しているイメージがありました。
義足のランナーとか、車いすバスケとか、あとは視覚障がい者のスポーツとか。
実は、私の妹には知的障がいがあります。
そのため、知的障がい者が出場できるパラリンピック競技がないか調べてみました。
すると2020年の東京パラリンピックにも知的障がい者が出場する競技がありました!
それがパラ卓球!(陸上や水泳にも知的障がい者が出場できるそうです!)
今回はそのパラ卓球でリオパラリンピックにも出場し、東京パラリンピック出場を目指す、竹守彪(たけもり たけし)選手を取材させていただきました!
(竹守選手とのツーショット写真)
今回の取材には竹守選手に加え、竹守選手が所属する卓球クラブ「TOMAX(トマックス)」の石川貴陽さん、一則さん、清子さんにもご協力いただきました。
(左から、貴陽さん、竹守選手、清子さん、一則さん。)
■卓球、そしてTOMAXとの出会い
竹守さんと卓球との出会いは、中学生の頃でした。竹守さんがお世話になっていた支援学級の先生が顧問を務める卓球部に所属したことがきっかけだそうです。
ある日、自分より重い障がいの友人に卓球で完敗し、その悔しさから友人が通っていたTOMAXに参加するようになりました。
TOMAXに参加したきっかけそのものに「負けん気の強さ」が伺え、竹守さんの強さの源なのかもしれません!
■障がいの有無で区別しない
TOMAXでは障がい者と健常者が一緒に卓球を行っているそうです。複数あるクラスは障がいの有無ではなく、卓球のレベルと理解力に応じてクラス分けしています。
そして、なんとTOMAXで初めて健常者の中に混ざって練習をしたのが竹守さんだったそうです!
学校教育などの社会制度や妹の日々の生活を見ていると、障がい者と健常者を区別されている場面が多いと感じていたので、私にとってはとても意外でした。
健常者と混ざって練習することは難しいことも多いのではと思い、竹守さんに聞いてみると、「難しさもあるけれど、そっちの方が楽しいし面白い。」とおっしゃっていました。
また、このような練習方法を取っていることに対し清子さんは「卓球が上手になりたいという気持ちが卓球以外の力も伸ばすことに繋がる。コミュニケーション能力などは間違いなく上がっています。」とおっしゃっていました。
「卓球が好き!」「上手になりたい!」という気持ちには障がいの有無は関係なく、同じ気持ちを持った人と一緒に練習することが一番なのかもしれません。
■2016から2020へ
パラ卓球男子の知的障がい者のクラスで、日本人で唯一リオパラリンピックの出場を果たした竹守選手に、2020年の東京パラリンピックへの意気込みを伺いました。
すると、意外にも初めに出てきた言葉は「このままでは厳しいと思っている。」という言葉でした。
万全の体調ではなかったリオの後も複数回にわたり手術をし、本格的に練習ができるようになったのは1年前。2年後に迫った2020年に対し、「もう2年しかないと思っていないといけない。もっともっと強くならないと出場もできない。今のままでは誰にも勝てない。厳しいこともあると思うが、全部耐えて頑張っていきたい。」と強い言葉をいただきました。
コーチの貴陽さんも高い目標を掲げてくれました。「パラリンピックに出場するまでは、『パラリンピック出場』が目標だった。次はその先にある『メダル』を目標にしたい。」
■家族のようで、チームでもある4人
今回4名にお話を聞いて、まず初めは「家族」のようだなと感じました。
竹守選手のことを「たけちゃん」と呼び、楽しそうに4人でインタビューにお答えいただく姿からは、竹守選手が中学生の頃から培ってきた確かな信頼関係が垣間見えました。
しかし、インタビュー後に見学させていただいた練習では、4人のもう一つの姿を見ることができました。
それは一つの目標を共に目指す「チーム」としての姿でした。
貴陽さんは「高い目標を掲げている以上、かける言葉も優しい言葉だけではない。それでも一緒に目標を達成したい。」
それに対し竹守さんも「コーチの話を聞くことに加えて、なるべく自分からできるようにならないと話にならない。日々進化していきたい。」とおっしゃっていました。
(竹守さんの練習を見つめる貴陽さん)
(竹守さんに身振りを加えながら指導する一則さん)
■最後に
今回取材させていただき、もっともっとパラ卓球が知的障がい者の間で広まって欲しいと思いました。
小学生や中学生の頃から、障がい者が卓球をできる環境がまだまだ少ないそうです。竹守選手も、支援学級の先生が卓球部の顧問を務めていたという偶然がなかったら卓球を始めていなかったかもしれないとおっしゃっていました。
もっともっとパラ卓球の裾野が広がり、たくさんの人の交流が生まれて欲しいなと思います。
竹守選手、石川貴陽さん、一則さん、清子さん、本当にありがとうございました!
(竹守選手が一緒にラリーをしてくださいました!一生の思い出です!)