TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「10/20 早稲田大学 2024稲門祭」実施レポート

2024.11.13
TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「10/20 早稲田大学 2024稲門祭」実施レポート

2024年10月20日(日)、東京都新宿区にある早稲田大学で開催された「2024稲門祭」で、「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」を実施しました。

稲門祭とは、早稲田大学校友会が開催するイベントで、同大学卒業生らが多く参加し、講演会やイベント、模擬店出店などで学内が賑わう一日になりました。
TEAM BEYONDのパラスポーツ体験プログラムは、早稲田キャンパス8号館の地下1階に会場を設けて実施。ゲストアスリートとしてお迎えしたのは、パリ2024パラリンピックの射撃競技で日本人初の銅メダルを獲得した水田光夏(みずた みか)選手です。水田選手にコツなどを教えてもらいながら、参加者はビームライフルで約5メートル先の的を狙って撃つ体験をしました。

他にもカヌー選手が実際に室内練習で使用するエルゴマシーンを用いたカヌー体験や、柔軟性のある専用の剣と導電性のあるジャケット、スマートフォン用のアプリを使って誰でも安全にフェンシングを疑似体験できる“スマートフェンシング”を用いた車いすフェンシング体験ができるコーナーを設けました。

当日の様子やそれぞれのパラスポーツの魅力を紹介します。

射撃

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ライフルもしくはピストルを使うパラ射撃は、呼吸のリズム、心臓の鼓動まで得点に影響する競技です。ライフル、ピストルにはそれぞれ装薬銃(火薬銃)とエアライフル(空気銃)の2種類があり、例えばエアライフル競技では標的までの距離が10メートル、黒い的の大きさは30.5mmで、その的の中心は直径0.5ミリメートルしかありません。
「(参加種目やクラスにもよりルールは異なりますが)例えば、予選では60発を60分間で撃ち得点を競う場合、世界のトップクラスの選手が参加するパラリンピックともなると60発全てを中心に当てなければ決勝に進めないような高度な技術が求められます」と競技関係者の方が教えてくれました。

今回、ゲストアスリートしてお迎えした水田光夏選手は、パリ2024パラリンピックのエアライフル競技(混合10mエアライフル伏射(伏せて銃を構える撃ち方))で日本人初の銅メダルを獲得した選手です。会場にはその銅メダルを持参して、参加者が間近で見られるサブライズ対応もしてくれました。
水田選手は自身が中学2年の時に難病と診断され、上肢(右ひじから先、左手の指先)と下肢(両ひざより先)の感覚が麻痺という障がいがあります。17歳からビームライフルを、その2年後からエアライフルを始めました。

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この日は参加者にビームライフルで5メートル先の的を狙い、5〜10発撃ってもらう体験をしてもらいました。水田選手は中心を撃つコツとして「初めての方はライフルを握る手に力が入りがちですが、ぎゅっと握って固定するのではなく、力を抜いて構えてみてください。またずっと集中をし続けることは無理なので、1発1発、リラックスしたりして気持ちを切り替えながら撃ってみてください」と呼びかけていました。

ビームライフルは引き金を引くとパシュッと発射音が鳴って、的のどの位置に命中したかが得点で表示されます。中央の10点に当たると、的の上にある王冠をデザインした電光掲示板が光ります。

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4歳と9歳の息子さんと一緒に参加していた女性の参加者は「オリンピック、パラリンピックが開催されていた時はテレビでいろいろな競技を観ていました。射撃も観ていて、今日はここで体験できると聞いて来ました。息子たちも楽しみにしていました」と話していました。

水田選手は「射撃は自分自身の体や内面的なところと向き合うスポーツです。それが私にとって、このスポーツの魅力となっています」と話してくれました。

カヌー

他にカヌーを体験できるコーナーを設けました。水上で漕ぐのではなく、カヌー選手が室内でトレーニングを行う際に使うエルゴマシーンを設置し、カヌーのパドルを漕ぐ動作を30秒間行って、何メートル進んだかを機械で測定する内容です。

TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「10/20 早稲田大学 2024稲門祭」実施レポート
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体験の流れとしては、①カヌーに座るようにトレーニングマシンのイスに座り、足先はベルトで固定。②両端にロープが付いた棒を両手で持ち、カヌーでパドルを漕ぐように左右に漕ぐ。③ロープの先はトレーニングマシンの先端にある滑車につながっていて、漕ぐ動作をすることで滑車が周り、実際のカヌーであれば何メートル進んだかが表示される、という体験フローになります。

多くの参加者は30秒間で40〜50メートルの記録でした。実際のパラカヌー競技は200メートルを漕ぎ、速さを競うスプリント競技です。障がいの程度にもよりますが、トップクラスの選手はその200メートルを40秒〜1分弱でゴールします。この日の参加者の記録に比べると倍位上の速さになります。
スタッフからそんな説明を受けた参加者は「漕ぐ動作をしてみて、その大変さが分かりました。選手たちのスピードがどんなものなのか、実際のカヌー競技を見てみたくなりました」と話してくれました。

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デジタル技術を活用した車いすフェンシング

会場にはパラスポーツ体験プログラム初の“スマートフェンシング”を用いて車いすフェンシングの試合を体験してもらうコーナーを設けました。
車いすフェンシング競技では、選手同士、それぞれの車いすを固定して試合を行います。フットワークによる前後の移動がないため、超接近戦のまま、目まぐるしく変わる剣の攻防が繰り広げられることが特徴です。

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今回は参加者二人一組で車いすに座ってもらい、対戦をしてもらいました。まずは導電性ジャケットを着用して、柔らかい素材の剣を持ってもらいました。その剣先が相手のジャケットに触れると電気信号が流れ、すぐそばのモニターにポイントとして表示されます。試合時間60秒の間に相手の剣をかわし、相手を突いて3ポイント先取した方が勝ちです。

車いすは動かさないため、剣を真っ直ぐ突き出せば相手に届きます。その剣をはらったり、上半身をよじって剣をかわしたりすることで防御となりますが、一瞬の隙を狙って突かれればポイントを取られることになり、どの試合も10秒〜数十秒で決着がついていました。固定された車椅子に乗って試合をすることで、スピーディーな試合展開になることを体感しました。
参加者からは「上半身の動きだけで、攻撃も防御も瞬時の判断で行わなければならず、この競技の難しさを感じることができました」という感想などが聞かれました。

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その他

他にパラスポーツとしての自転車競技、水泳、車いすラグビーの魅力や面白さを伝えるパネル展示を行いました。
また、視覚障がい者向けのスポーツとして考案された競技のゴールボールに関しては、パネル展示の他、試合で使用する鈴が中に入ったボールも展示しました。ゴールボールは6人制バレーボールコートと同じ広さのコートを使い、1チーム3人で鈴入りのボールを互いに投げ合って得点を競う対戦型競技です。ボールの大きさはバスケットボールとほぼ同じですが、その重さはバスケットボールの約2倍で1.25キログラムあります。ボールを実際に持ってもらうことでその重さや硬さ、鈴の音の鳴り方などを体感してもらいました。

TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「10/20 早稲田大学 2024稲門祭」実施レポート
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さらにモニターも設置してTEAM BEYONDが制作したパラスポーツ紹介の短編動画や、2025年に東京で開催されるデフリンピック(聴覚障がい者のための国際スポーツ大会)を紹介する動画を放映し、パラスポーツへの理解を多くの方に深めてもらいました。
一線で活躍するアスリートをゲストに招き、体験や展示でパラスポーツの魅力を知ってもらう「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」。実際に体験することで、そのスポーツの楽しさや難しさ、選手たちのすごさを知っていただくきっかけになったのではないかと思います。この体験を通して、パラスポーツへの関心や理解がより深まっていくことを願います。

次回の11月10日(日)は、第19回世田谷246ハーフマラソン(駒沢オリンピック公園 中央広場)で実施します。ぜひご参加お待ちしています!

パラスポーツ体験プログラムでは、スタンプラリーを実施しています。集めたスタンプ数に応じてオリジナルグッズをプレゼント!皆さんの参加をお待ちしています!

・スタンプラリーの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/passport

・パラスポーツ体験プログラム 今後の実施予定はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/schedule

・TEAM BEYOND LINE公式アカウントの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/topics/activity/line_open

20241113

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