支援企業・団体の声
株式会社ビーズインターナショナル
2025.3.13

夢はパラリンピック日本代表!ダウン症スイマーをアスリート採用

ストリートファッションで注目されている株式会社ビーズインターナショナル(以下、ビーズインターナショナル)。昨今は、ダウン症のスイマーの村井海人(むらい かいと)選手を採用したことでも関心を集めています。どんな経緯があったのでしょうか。ビーズインターナショナルの人事部マネージャーの岡部千春(おかべ ちはる)さんにお話を伺いました。

センスの良さと実績でインスピレーション

ダウン症のアスリートを採用するにあたり、採用の決め手となったのは何だったのでしょうか。岡部さんは躊躇することなく言います。

「ほとんど一目ぼれでした!資料としてインスタグラムのアカウントをいただいていたので、そこからたくさんの情報を知ることができました。アパレルの会社ですので、写真を見て、ファッションセンスの良さにピンと来たのが最初です。着こなしのバランスがいいし個性が出ていました」

当初、服のコーディネートはお母さまがしていると思っていたとのこと。聞いてみると、自分でアイテムごとに色分けしてクローゼットに収納、その日の気分によって着分けていると知り感激。さらに、岡部さんは強調します。

「大前提として、国内外の大会で活躍されているという実績ですね。瞬間的に、この人だ!とひらめきました」

誰からも愛される存在に

村井選手はパラアスリート採用で入社し、国内の大会はもちろん、海外の大会に向けて練習に専念しています。入社してから、社内の雰囲気が変わったと岡部さんは振り返ります。

「村井選手は笑顔がとても素敵です。性格的に素直で愛らしい魅力があるので、すぐに社内のアイドル的な存在になりました。そして、精神的にとても強いとも感じています」

ネガティブな発言や態度は見聞きしたことがない、嫌なことがあっても態度に出さないというスタイルはいつも変わらないとのことです。それも慕われる理由の一つでしょう。そのため、村井選手と社員の方との間で仲間意識ができるのに長い時間はかかりませんでした。大会の応援には、必ず何人かの社員の方々が同行して熱心に応援を続けているそうです。

そして、波及効果は社内だけではないということに驚きました。ダウン症の子供がいるご家族にも影響を与えているというのです。岡部さんは続けます。

「最近、村井選手や会社のインスタグラムを見て、出場大会を観戦に来る人が増えています。ダウン症の子供とそのご家族です。最初は全員初対面だったのでしょうけど、何度か顔を合わせることで意見交換できるコミュニティになってきたのです。村井選手が泳ぐ姿を見た親御さんから『うちの子も将来スイマーにしたいです』という言葉を聞いた時、鳥肌が立ったと村井選手のお母さまはおっしゃっていました」

この展開を知り、村井選手のお母さまは責任をより強く感じたとのこと。自分たちが活動し続けることで、同じ立場の人に自信や希望を持ってもらえるのだと実感しているそうです。

ネットワークを結びつけて広げる「ハブ」になる

ビーズインターナショナルには、現在パラアスリート社員が3人在籍しています。今後、パラスポーツについてどんな取組を考えているかお聞きしました。

「当社はストリートカルチャーの発信と同じように、スポーツ事業にもかなり力を入れています。また、『国籍や性別など表面的な多様性ではなく真のダイバーシティを目指す』という人事ポリシーがあり、多様な個性を集結させて会社を最大化していきたいと考えています。スポーツ事業、そして多様性という二つの要素を象徴するのがパラアスリート社員の存在です。現在、パラアスリートに限らず、さまざまなスポーツで世界的に活躍するアスリートを会社としてサポートしており、多様な個性を有するアスリートたちが自己の実力と魅力を発揮できるような環境づくりに力を入れています」と岡部さんは強調します。

その一環として、ビーズインターナショナルが契約するパラアスリートと健常者アスリートとの交流会を開催したところ選手同士の情報交換ができたので、今後につなげたいとのことでした。契約形態は人それぞれということですが、この時、全員がビーズアスリートなのだと改めて結束を感じたそうです。

「その時、集合写真を撮ったら想像以上にかっこいいビジュアルに仕上がりました。車いす陸上のパラアスリート、ブレイキンのアスリート、自転車競技BMXのアスリートなどなど。仲間意識や連帯感が高まってよかったです」と岡部さんは振り返ります。

さらに、アスリート個人をサポートするだけでなく、競技や、パラスポーツ全体も盛り上げていく必要があると考えていると岡部さんは語ります。

「当社はパラアイスホッケーの選手を1名雇用しています。先日、『ジャパンパラアイスホッケーチャンピオンシップ』という、イタリアと韓国の代表を招いた国別対抗戦が日本国内で開催されたのですが、パラ水泳などとは違って、まだまだ競技自体の知名度が低く、観客は非常に少なかったです。やはり、ある程度スポーツとしての人気を高め、競技人口を増やし、若手選手を育成していかないと、個の力だけではパラスポーツ先進国と闘えないと感じています」

また、岡部さんは「これからも、いろいろな方法を試みて支援、応援していきたいです。社内外のネットワークを結びつけて広げる『ハブ』のような存在になってパラスポーツを盛り上げていきたいと思います」と意気込みました。広がりは無限大、今後の展開が楽しみです。

~村井海人(むらい かいと)選手とお母さまに聞きました~

【2024年度出場大会の主な結果】
2024年 第11回世界ダウン症水泳・アーティスティック選手権大会 50m背泳ぎ 3位
2024年 第1回全米オープン水泳選手権 Ⅱ-2オープンクラス50m背泳ぎ 優勝
2024年 第3回英国ダウン症水泳選手権 T21クラス50m背泳ぎ 準優勝、
200m背泳ぎ 第4位アジアレコード更新

◆水泳との出会いを教えてください。

「2歳の弟が水泳教室に通うことになって、一緒に泳ぎたいので水泳を始めました。11歳の時でした」(村井選手)

お母さまによると、小さい頃から水を怖がらないばかりか水が好きだったそうです。入浴中はいつもお湯に顔をつけてはしゃいでいたとか。水泳はもってこいのスポーツです。さらにはその水泳教室に障害者向けのクラスがあったのが決め手となりました。クラスには、世界大会に出場している先輩がいて、励みになったそうです。

◆アスリートになりたいと思ったきっかけは?

「13歳ぐらいからパラアスリートになりたいと思い始めました」(村井選手)

「アメリカが好きで、アメリカでの国際大会に出たいという気持ちで頑張ってきたんです」お母さまはコメントします。とはいえ、パラアスリートを目指すにはかなりの練習量が必要になります。そこからの生活変化は大きかったそうです。

「生活すべてが変わりました。食事も睡眠も。朝の第一歩から違ってきた感じです」一日に泳ぐ距離は多い時で10キロメートルというので驚きですが、毎日101%頑張る、という気持ちで練習してきた結果とお母さまは付け足します。

◆ビーズインターナショナルに入ってみてどうでしたか?

「みんな笑顔。いつも笑顔なのがうれしい」(村井選手)

入社のきっかけは、お母さまが障害者の総合就職・転職サービスに応募したことから。2日後に面談の連絡が入り株式会社ビーズインターナショナルを紹介していただきました。その後、数回の面接を経てアスリート社員としての採用が決定となりました。

将来的な自立のために、世界で闘える選手になってほしいという強い思いがあったそうです。

採用が決まって喜ぶ半面不安もありました。 社員の方々の温かい気持ちに包まれて馴染むことができたとのことです。この運命的な出会いにより、プロアスリートへの道が開きました。

◆水泳をやっていて楽しいことは?

「みんなで泳ぐのが楽しいです。みんなと頑張っていきたいです」(村井選手)

他の選手はライバルというより同じ目標を持つ仲間という思いが強いようです。

目下一番の大きな夢は「日本代表になってダウン症のアスリートとしてパラリンピックの舞台に立つこと」という村井選手、今後さらなる飛躍に期待します。

株式会社ビーズインターナショナル
担当部署 人事部
住所 〒153-0043 東京都目黒区東山1-1-2 東山ビル7F
URL https://bs-intl.jp/
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