支援企業・団体の声
株式会社カスミ
パラスポーツ体験イベントで共生社会を目指す
茨城県を中心に、関東に190店舗(2020年11月時点)のスーパーマーケットを展開する株式会社カスミ。同社は、自治体や民間企業と連携したパラスポーツのイベント開催に取り組むことで、バリアフリーな共生社会の創生を目指しています。
つくば市や地元企業と連携したパラスポーツイベントが大好評
これまでの同社の取組について説明するのは、戦略経営本部 共生社会推進担当マネジャーの小島雅弘さんです。
「今年の2月に茨城県つくば市で『つくパラ2020』というイベントを当社が主催となって開催しました。イベント参加者だけでなく、協賛していただいた企業や、つくば市からも大変好評でした。」(小島さん)
2020年2月9日につくば市桜総合体育館で行われた「つくパラ2020」は、車いすバスケ、ブラインドサッカー、ボッチャなど、さまざまなパラスポーツ体験を通して、「みんなが一緒に生き生きと暮らせる共生社会の実現を目指す」というメッセージを発信するイベントです。
つくば市の共催のもと、地域に根差す関彰商事株式会社、東京ガス株式会社をはじめ、多くの企業や団体の協力がありました。
この成功をきっかけに、次々と社内での企画や、他社を巻き込んでのイベント案が立ち上がっていましたが、現在は新型コロナウイルスの影響で、ストップしてしまっているとのこと。そんな中でも、小島さんは次回の「つくパラ」開催に意欲を燃やしています。
「『つくパラ』は継続して開催していきたいと思っています。長く続く文化を作っていきたい。つくば市とも足並みをそろえて取り組んでいく予定です。前回参加していなかった障がい者スポーツ競技団体からも『仲間に加わりたい』というお声をたくさんいただいています。」(小島さん)
第1回で見えた反省を活かして、次回の開催時は、よりよいものを目指しています。
「地域の小学校などを中心にリーフレットを配布していたので、私たち事務局側の見立てでは、来場者は健常者の親子連れが多いのではと考えていましたが、当日は障がいを持った方もたくさんお越しいただき、いい意味で期待を裏切ってくれました。次回の開催時には、会場運営やコンテンツにおいても、そういった部分のケアをより強化していきたいと考えています。」(小島さん)
意外な縁で生まれた「つくパラ」。多彩なお楽しみ要素で盛り上げる
「つくパラ」が誕生したきっかけは、さまざまな縁が重なってのことでした。 「2018年に当社の取締役会長である小濵裕正が、弊社の広報誌の企画でパラスポーツの選手と対談をしました。当社グループでは障がい者雇用を積極的に行っています。グループ会社には障がい者が活躍している特例子会社もあります。」(小島さん)
そこから話は意外な展開に。
「対談相手のおひとりの選手が同じつくば市内の関彰商事さんに入社されるというご縁があったり、東京ガスの顧問で日本障がい者スポーツ協会常務理事の高橋秀文様に、当社の経営状況報告会で講演していただいたことがあったり。そんなつながりから、まずはこの3社でイベントを開催することになりました。」(小島さん)
そんな縁からスタートした「つくパラ」は、約1年前から3社間でのプロジェクトチームを立ち上げ、準備を進めました。イベントの2週間前には、各社から募った社員やつくば市の職員、障がい者スポーツ競技団体のスタッフなど、当日の運営に携わる40名ほどが集まり、最終打ち合わせを実施。オープンな気風のメンバーが集まったこともあり、役割分担からタスク管理や実行まで、非常にスムーズだったそうです。
「最終打ち合わせ後に、親睦を兼ねて皆でボッチャを体験したのですが、これがけっこう盛り上がりまして(笑)。素晴らしいメンバーに恵まれて、いい準備ができたなと思いました。」(小島さん)
楽しいことを追求するというテーマのもと、イベントにはただパラスポーツの体験をするだけではなく、さまざまな要素を盛り込みました。
例えば、サッカー元日本代表で、鹿島アントラーズのC.R.O中田浩二さんをゲストに迎えてブラインドサッカーを体験してもらったり、会場ではフリーアナウンサーが各スポーツの様子を実況中継で盛り上げたり。
フード関連では、協賛のUCC上島珈琲がキッチンカーでコーヒーやココアを無料配布。サントリーフーズ、キリンビバレッジからスポーツドリンクを協賛いただいたり、地元の障がい者団体によるお菓子やパンの即売会なども開かれました。
さらには盲導犬ふれあいコーナーや、カスミの店舗で行われている管理栄養士によるヘルスサポート、スタンプラリーでの景品交換など、とにかく盛りだくさんのコンテンツが参加者を飽きさせず、「つくパラ2020」は大盛況に終わりました。小島さんに、もしこれから取組を始めようとする企業にアドバイスをするとしたら?とうかがうと「楽しいことをするのが大前提」と言います。
パラスポーツの振興が、共生社会を創出するきっかけに
イベント自体の成功のほかにも、「つくパラ2020」には効果がありました。まずはカスミの自社店舗や地元施設を有効活用した地域活性化です。
「『つくパラ2020』の盛り上がりを受けて、当社の中でもパラスポーツや共生社会への意識が高まっています。店舗内にあるフードコートで開催した、筑波大学が開発した障がい者用の機器を使ったイベントなどはその一例です。」(小島さん)
さらにスーパーマーケット事業を営むカスミの“本業”にも好影響があったとのこと。
「今まで地元企業とはいえ、なかなか接点がなかった東京ガスさんや関彰商事さんと、ビジネスにおいても新しい取組が始まっていますし、本当にいい仲間ができたという感覚です。障がい者スポーツ競技団体や障がい者団体からも積極的にお声がけをいただくなど、今までにないネットワークが生まれています。」(小島さん)
そんな業界や立場が違う人たちが手を取り合うためのきっかけ作りや、パラスポーツへの理解度を高めるための手段として、小島さんはTEAM BEYONDの活動に期待を寄せています。
「かつてまったくパラスポーツの実情を知らないころに、ゴールボールの国際大会を観戦に行ったのですが、観客が少ないことに驚きました。また、イベントを開催して実感したのが『障がいのある方もパラスポーツをやったことがない』ということ。私たちはそこにどんなエッセンスを加えれば、少しでも会場に足を運んでもらえるようになるか。皆さんに体験してもらえるようになるか。そんな橋渡しのための情報発信をTEAM BEYONDと一緒にできればと考えています。」(小島さん)
小島さんは現在、自社が主催となる大規模なボッチャ大会を計画中。当初は10月11日を予定しており延期となりましたが、ボッチャの審判員が県内には少ないので社屋で審判講習会を計画するなど、来たるべき日のための準備には余念がありません。
そして、第1回よりもさらに大きな規模の「つくパラ2021」の開催も見据えています。開催は新型コロナウイルスの状況次第、となってしまいますが、確実に協力者は増えています。地元の企業や団体の自発的な参加もかなりの数が見込めそうです。カスミが目指す「みんなが共生する地域社会」への取組は、今後も目が離せません。
株式会社カスミ
担当部署 | 戦略経営本部 共生社会推進 |
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住所 | 茨城県つくば市西大橋599-1 |
電話 | 029-850-1850(代表) |
URL | https://www.kasumi.co.jp/ |