支援企業・団体の声
株式会社丸井グループ
国内初のブラインドサッカー専用コートを開設
ビジネス視点をプラスして継続的な支援を実現
車いすバスケットボールや車いすテニス、ボッチャ、ゴールボールなど、さまざまなパラスポーツがある中で、株式会社丸井グループは現在、ブラインドサッカーの支援を行っています。そして日本ブラインドサッカー協会(JBFA)とパートナーシップ契約を結ぶことにより、パラスポーツ振興とビジネスへの連携を実現しています。
自社の研修施設内にブラインドサッカー専用コートを開設
商業施設などの小売り事業と金融が一体となった独自のビジネスモデルを持つ株式会社丸井グループ。同社はブラインドサッカーを支援しています。その支援とは決して一方通行なものではなく、JBFAと対等な関係を築き、お互いに相乗効果を生み出しているといいます。
丸井グループとJBFAとの関わりについて説明するのは、サステナビリティ部サステナビリティ担当 課長の村上奈歩さんと、チーフリーダーの沓澤(くつざわ)優子さんです。
「私たち丸井グループはCSRの取組を始めた当初から、パラスポーツを支援するというよりも、一緒により良い未来をつくっていける企業様や団体様とつながれたら、と考えています。その取組の過程でJBFA様と出会い、交流を通していく中で『すべての人が幸せを感じられる社会の実現』という当社のミッションに共鳴するものを感じ、そこからさらにブラインドサッカーとのかかわりを深めてきました。」(沓澤さん)
同社が運営している商業施設のマルイへパラスポーツの選手を招いてお買い物体験イベントを行ったり、社内研修にパラスポーツ体験を組み込むなどの活動をしながらパラスポーツ振興に尽力していた中で、JBFAやTEAM BEYONDとの出会いがあったそう。
「ブラインドサッカーは、全盲のフィールドプレーヤー4人と、晴眼者のゴールキーパー1人という全部で5人のチーム構成でプレーします。障がいのある人もない人も混ざり合ってチームをつくるところは、まさに当社の企業理念に通ずるところがあります」(沓澤さん)
実際にブラインドサッカーやJBFAと関わっていくうちに、選手や関係者から「本拠地と呼べるような練習場がなくて困っている」「練習場が毎回変わり、そこへたどり着くのも大変だ」という話をよく聞くように。それが、日本初のブラインドサッカー専用練習場「MARUI ブラサカ!パーク」のオープンという大きな取組を始めるきっかけとなりました。
同社は2018年より、ブラインドサッカーの代表選手やユースの育成を目的としたパークの開設計画をスタート。東京都小平市花小金井にある研修施設内の土地を利用し、ブラインドサッカー用のゴールやサイドフェンスなどを設置した練習場、シャワールームやアイシングができる施設などを完備したクラブハウスを建設しました。コロナ禍により練習ができなかった影響で予定より遅れましたが、2020年6月10日に正式オープンを迎えました。
「ブラインドサッカー男子日本代表の高田監督や選手の皆さまに喜んでいただけたことがうれしく、我々もグループ一丸となって取り組んでよかったと思っています」(沓澤さん)
このパークは丸井グループの研修施設内にあるため同社が管理していますが、ブラインドサッカー日本代表チームに貸すことで使用料を得ているとのこと。それも“一方的な支援者”ではなく、“パートナー”としてパラスポーツ振興に取り組んでいるためと、沓澤さんはいいます。
「JBFAの方々は当社のこともよく理解してくださっていて、パーク建設の際もいろいろな提案をしてくださいました。やはり一方的な支援だとそういった意見は言いづらくなるので、お互いにとって良い関係性でいるためには、対等な立場が必要だと思います」(沓澤さん)
障がいのある方に対して何か特別な感情を抱くのではなく、その人の立場に立って考える。それは、障がいの有無に関係なく共生できるよりよい社会をつくるために必要なことだと村上さんはいいます。
「障がいのある方に対して無意識のバリアみたいなものを張って区別してしまうのではなく、もっと身近に考えていくことが大切だと思います。実際に研修などでお聞きすると『特別扱いはされたくない、健常者と同じように扱ってほしい、けれどサポートは必要』というのが当事者の生の声。それを直接聞くことがきっかけとなって、頭で考えるだけでなく『気持ち』として自分の中に入ってくると思います。そんな触れ合いから始められるといいなと思います」(村上さん)
この考えは、今後パラスポーツ振興に関わりたいと考えている人や企業にとっても大切なことだといえます。
「企業からの一方的な支援はたくさんあると思うのですが、お金や物資など、何かを提供するだけではなく、当社では研修などを通じて障がいのある方たちしか分からないことを吸収できる機会を設けています。お互いによいところを活かして何かを生み出すことができる『仲間』として考えています」(沓澤さん)
パラスポーツ振興をビジネスにつなげて息の長い支援を実現
丸井グループではブラインドサッカーだけにとどまらず、さまざまなパラスポーツの振興に取り組んでいます。その内容についても詳しく伺いました。
「例えば、当社の社内イベントに『インクルージョンフェス』というものがあり、2019年には車いすラグビーやボッチャ、ブラインドサッカーなどのパラスポーツを体験してもらう機会を設けました。それは社員が実際に体験することによって障がいのある方の目線や気持ちを直に実感してもらい、同時にパラスポーツの魅力も感じてもらうためです。また、1m先に車いすが来るようなステージを作って、車いすバスケットボールの永田選手や車いすラグビーの官野選手をお呼びして、トークショーやデモンストレーションをしていただきました」(沓澤さん)
至近距離で選手同士がぶつかり合う姿を見たり、話を聞くことで、そのスポーツ自体の楽しさや、障がいの有無に関係なく楽しめるものなんだということを実感してもらえます。こういった取組は、社員や消費者など個人の意識を変えるだけでなく、ビジネス面でも効果を発揮していると村上さんはいいます。
「例えばパラアスリートに実際にお買い物体験をしていただいたり、当事者からアドバイスのもと、車いすの方でも使いやすい店舗づくりにむけた監修をお願いしています。パラスポーツ振興を自分たちのビジネスに採り入れることで、店舗に来てくださるお客さまも増えるのではと考えています。」(村上さん)
障がい者支援やパラスポーツ振興をビジネスに活かすというと、あまりよくないイメージを持たれる方もいるかもしれません。しかし決してそうではなく、ビジネスとの相乗効果が生まれるからこそ、一時的な支援ではなく継続的に取り組むことが大切であると村上さんはいいます。
「CSRは大きな企業だったり余裕がある時でないと力を入れていくことが難しいかもしれません。ですが、こういった取組はビジネスにはもちろん、他にもさまざまなメリットがあります。例えば採用面では、当社の活動やミッションに共感してくれた優秀な人材が入社してきています。当社は障がい者支援だけでなく、環境問題やLGBTQなどのあらゆる社会課題を『ビジネスにつなげて考える』ことを常に意識しています。ビジネスと両立できる仕組みを考えていかないと、なかなか長続きしないのではないでしょうか」(村上さん)
昨今のコロナ禍により経営的に厳しくなり、支援が止まってしまったケースもあるといいます。そんな中で丸井グループでは「お客さまがカードを使うことで、困っている人を助けられる」といった仕組みやイベントを考えることで、長期的に取組を継続することを実現しています。世の中の流れや仕組みを根本から変えることで、誰もが住みやすい社会になるはずです。
村上さんは「TEAM BEYONDからも成功事例やメリットをいろいろ紹介してほしい」といいます。そうすれば、今はまだパラスポーツ振興やCSRに一歩踏み出せない企業もスタートしやすくなるだろうと期待を寄せています。また沓澤さんも、TEAM BEYONDに対して、企業同士や企業とパラアスリートをつなぐ場としての活動を期待しています。
丸井グループは今後もパラスポーツ振興に継続的に関わっていくとのこと。コロナ禍の収束を待って、研修やイベントなども再開する予定です。
「せっかくパークもできたので、新入社員の研修にもパークを使っていきたいです」(沓澤さん)
「まだ企画段階ですが、今年は『インクルージョンフェス』をオンラインでやろうと考えています。オンラインでも伝わることはきっとあるので、当事者の方と相談しながら、コロナ禍でも取組を消さないようにしていきたいです」(村上さん)
お話を通して、ご本人たちをはじめ、丸井グループ全体がこの活動に誇りを持ち、楽しく継続されているのが伝わりました。今後の丸井グループのさらなる活躍を期待しています。
株式会社丸井グループ
担当部署 | サステナビリティ部 サステナビリティ担当 | ESG推進部 ESG推進担当 |
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所属人数 | 11名 | |
住所 | 東京都中野区中野4-3-2 | |
電話 | 03-5343-0210 | |
URL | https://www.0101maruigroup.co.jp/ |