TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「10/19、20 文京学院大学 第60回文京祭」実施レポート

2024.11.13
TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「10/19、20 文京学院大学 第60回文京祭」実施レポート

2024年10月19日(土)・20日(日)、東京都文京区にある文京学院大学・本郷キャンパスで開催された「第60回文京祭」で、「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」を実施しました。

文京祭とは、同大学・本郷キャンパスで行われる大学祭です。学内の各会場で学生による屋台出店や発表会、コンサートなどが賑やかに行われる中、メセナ(体育館)でTEAM BEYONDのパラスポーツ体験プログラムを開催しました。ゲストアスリートとしてお迎えしたのは、19日にはパラ陸上競技の手塚圭太(てづか けいた)選手。20日に池田樹生(いけだ みきお)選手に登場いただき、義足を装着した状態での歩行体験や走行体験を参加者に指導してもらいました。

他にもミニ卓球台を使った卓球体験や、VRを活用したバドミントン体験ができるコーナーを設けました。大学祭での開催とあって、大学近くにお住まいの家族連れや大学生など、幅広い年代の方が参加してくれました。

当日の様子やそれぞれのパラスポーツの魅力を紹介します。

陸上競技(義足体験)

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走る、跳ぶ、投げるなど人間の基本的な運動動作の究極を、100分の1秒や1センチの単位で競い合う陸上競技。パラ陸上では選手それぞれの障がいの程度に応じて、競技用車いすや義足、義手を使ったり、視覚障がいの場合はガイドランナー(伴走者)と走ったりします。
今回は義足を使った陸上競技体験をしてもらおうと、手塚圭太選手と池田樹生選手をゲストアスリートに迎え、義足を装着して歩いたり、走ったりする体験を参加者にしてもらいました。

19日の指導にあたってくれたのは手塚圭太選手。2018年に第17回全国障害者スポーツ大会の走り幅跳びで1位となったほか、2019年のジャパンパラ陸上競技大会の200メートルおよび400メートルで1位を獲得した選手です。現在の年齢は61歳。ただ61歳と聞いても、とてもそのようには見えない若々しさで、姿勢の良さやアスリートならではの筋肉質な体に目を見張ってしまいます。

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「私は23歳の時にバイクの事故で左足を切断しました。その後、スキーやゴルフ、登山などいろいろしてきましたが、陸上を始めたのは49歳からです。遅咲きのランナーですが100メートル、200メートル、400メートル、走り幅跳びをやってきました。100、200、幅跳びでは今でも自分の記録を更新し続けています」と手塚選手はあいさつで話しました。

そして、いよいよ義足体験です。会場には子ども向けの小型義足から大人向けの大型義足まで3種類を用意。この義足は陸上競技用で、短いスキー板を「くの字」に曲げたような形状になっています。板の材質はカーボンファイバーで、くの字になっていることで板バネ状になり、強く踏み込むと少し沈み込みます。

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参加者はまず片足だけ装着し、手塚選手やスタッフの介助を受けながら15メートルほどのコースを歩きました。1〜2往復した後、今度は両足に装着。また介助を受けながらコースを往復し、慣れてきた方は一人で歩いたり、走ったりしました。

手塚選手からのアドバイスは「義足を着けると怖くて前かがみになりがちですが、そうすると前にこけてしまいます。姿勢は真っすぐ、頭を上げて正面を見て、普通の歩行と同じように大きく手を振って歩いてください。そうするとバランスよく歩けるようになります」とのことでした。実際そのようにすると、参加者の多くは一人で歩けるようになっていました。

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手塚選手は「私はこれまで富士山にも3回登っています。義足という道具を使えば、何でもできます。どんな人でも必要な道具を使ったり、工夫をしたりすることで何でもできると感じてもらえるとうれしいです」と体験会の様子を見ながら話していました。

翌20日のゲストアスリートは池田樹生選手。2017年の世界パラ陸上競技選手権に日本代表として出場し、陸上競技400メートルで8位入賞、4✕100メートルリレーで銅メダルを獲得した選手です。この日はこのリレーで獲得した銅メダルも持ってきて、参加者に自由に触ってもらったりもしていました。池田選手は生まれつき、右足と両腕に障がいがあり、陸上競技の際には義足と義手を使用しています。

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「私は幼い頃から野球、サッカー、バスケットをやってきて、高校から陸上を始めました。専門は100メートル、200メートルの短距離種目です。私は手にも障害があって走るときは義手も使います。義足、義手の2つの道具を使って、50メートルなら6秒台で走ります」と池田選手は自己紹介で話しました。

そして義足体験に入りました。池田選手はなるべく介助を少なくし、参加者が最初から自力で歩けるような指導をしていました。ポイントは太ももを真上の方向に高く上げること。
この日も次第に慣れてきた参加者は自力で自由に歩いたり、人によっては走ったりする様子が見られました。

TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「10/19、20 文京学院大学 第60回文京祭」実施レポート
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両日を通し、参加者からは
「板バネ状の部分がもっと弾むのかと思っていましが、意外なほど硬いものだと知ることができました」
「パラ陸上で、義足を着ける選手が走る姿を『普通』に見ていましたが、自分で着けてみてそのすごさを実感しました」
「平地だから歩きやすいが階段の登り降りや椅子に座る際の大変さを知れた」
などの感想が聞かれました。

池田選手は「義足の体験イベントを通し、私たち選手と同じ共通体験をしてもらえることがうれしいです。義足を着けることでどんな感覚になるのか、お互いの共通言語が一つできたという感じになります。義足だけではなく、パラスポーツ全体にも言えることで、体験してもらうことで新たに見えてくる世界があると思っています」と、参加者の楽しげな様子を見ながら話してくれました。

卓球

車いす卓球をカジュアルに体験してもらうコーナーも設けました。ミニ卓球台を用意し、参加者は車いすに乗った状態でラケットを持ち、ネットを挟んだ相手側のコートに置いてある箱を狙って球を打ちます。箱の中は1〜9までの数字が書かれた9マスに仕切られていて、球が入った場所で縦か横、斜めにそろえば「ビンゴ」となるゲームです。

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最初に何球かテスト打ちした後、5球ほど打ってビンゴを狙ってもらいます。マスにいったん球が入っても弾んで飛び出すことも多く、ビンゴにするには至難の業となって、子どもから大人まで大勢の参加者で盛り上がりました。
実際のパラ卓球では、ときに時速100キロメートル以上にもなる球を打ち返すスピード感や、相手のプレースタイルを分析したうえで打ち返しにくいところを狙ったりする頭脳戦が見どころになります。

この日の参加者は「私は(健常者の)卓球経験があるのですが、今日は車いすに座ることで視点が変わって新鮮でした。パラ卓球の試合では車いすを操作しながら球を打ち返したりするのだと思うのと、そのすごさを感じました」と話してくれました。

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VR技術を活用したバドミントン

会場ではVR(ヴァーチャル・リアリティ=仮想現実)を活用したバドミントン体験も実施しました。パラバドミントンは、車いすや義足、低身長などさまざまな障がいの選手たちによる相手の動きを先読みするラリーの応酬や、素早いチェアワークで繰り出す緩急織り交ぜたショットなどが見どころになります。スピーディーな緊張感あふれる駆け引きも魅力です。

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今回のVRバドミントン体験では、参加者に車いすに座ってもらい、VRゴーグルを装着して仮想空間上に現れる対戦相手との6点先取のゲームを体験してもらいました。
コントローラーを1本ずつ両手に持ち、シャトルをラケットで打つサーブからゲームは始まります。車いすを操作する必要はありませんが、最初はサーブを打つことですらなかなか難しいプレーになります。

「普段はパラスポーツに関わる機会がないので、(VRを使って)手軽に体験できたことが良かったです」
「学校や部活で行う(健常者の)バドミントンとは違い車いすだからこその動きにくさがあり難しかった」
といった声が聞かれました。

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その他

他にも会場ではパラスポーツとしての柔道、馬術、車いすバスケットボールの魅力や面白さを伝えるパネル展示を行いました。

また、アイマスクを付けた選手たちが、転がると音が出るボールを追って相手ゴールを目指す5人制サッカーについてもパネルで紹介し、実際にプレーで使うアイマスクと音が出るボールを展示しました。普段からサッカーをしている子どもがアイマスクを付け、父親と一緒に音が出るボールを蹴ったり、止めたりして、何も見えない状態で行うサッカーの感覚を体験する光景もありました。

TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム「10/19、20 文京学院大学 第60回文京祭」実施レポート
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さらに2025年に東京で開催されるデフリンピック(聴覚障がい者のための国際スポーツ大会)をパネルで紹介するコーナーも設け、来年に迫ったこの国際大会により深い関心を持ってもらえるようにしました。
一線で活躍するアスリートをゲストに招き、体験や展示でパラスポーツの魅力を知ってもらう「TEAM BEYONDパラスポーツ体験プログラム」。実際に体験することで、そのスポーツの楽しさや難しさ、選手たちのすごさを知っていただくきっかけになったのではないかと思います。この体験を通して、パラスポーツへの関心や理解がより深まっていくことを願います。

次回の11月10日(日)は、第19回世田谷246ハーフマラソン(駒沢オリンピック公園 中央広場)で実施します。ぜひご参加お待ちしています!

パラスポーツ体験プログラムでは、スタンプラリーを実施しています。集めたスタンプ数に応じてオリジナルグッズをプレゼント!皆さんの参加をお待ちしています!

・スタンプラリーの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/passport

・パラスポーツ体験プログラム 今後の実施予定はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/sports/taiken/schedule

・TEAM BEYOND LINE公式アカウントの詳細はこちら↓
https://www.para-sports.tokyo/topics/activity/line_open

20241113

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