支援企業・団体の声
株式会社アシックス
2023.2.24
パラスポーツを通じて健康で持続可能な共生社会実現へ貢献していく
創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし」のもと、シューズをはじめとするスポーツ用品やサービスなどをグローバルに展開する株式会社アシックス(以下、アシックス)。長期的な指針に「VISION2030」を掲げ、「誰もが一生涯、運動・スポーツを通じて心も体も満たされるライフスタイルを創造する」ことを目指して活動しています。
東京2020大会協賛の背景
1949年、鬼塚商会として神戸で創業したアシックス。日本を代表するスポーツ企業であり、長年オリンピック・パラリンピックなどの世界的イベントをサポート。東京2020大会でもゴールドパートナーとして、オフィシャルウェアなどのスポーツ用品を提供しました。
根底にあるのは、創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし」。スポーツを通して青少年の健全な育成に貢献したいという想いによるもので、近代オリンピック創設の信念と原点を同じくしています。
東京2020大会以降アシックスは、「東京レガシーハーフマラソン」やオットーボック・ジャパン株式会社が主催する「ランニングクリニック」に協賛するなど、パラスポーツを通じた活動にも積極的に取り組んでいます。
これらの推進活動は同社スポーツマーケティング統括部、パラスポーツ企画部が中心に行っています。2022年1月に新設されたこの組織で部長を務める君原嘉朗さんに、設立の背景や活動内容などを伺いました。
「私は2021年末まで、当社の東京大会オリパラ担当でした。2016年大会の招致活動から関わらせていただいており、都庁に出向していた時期もあります。そうした経緯もあり、東京2020大会は個人的にも思い入れが深いですね。
東京2020大会にはゴールドパートナー企業の一社として関わらせていただきました。コロナ禍の影響もあり無観客での実施と、非常に難しい大会ではありましたが、大会が開催されたことはアシックスとしても、また担当者としても良かったと思っております。ただ、大会を通じて経験してきたことを決して思い出で終わらせてはいけない。この先の事業につなげる機会はもちろん、スポーツを通じた社会課題の解決、共生社会の実現につなげていくことをアシックスのレガシーとしていかなければならない。そういった想いからパラスポーツ企画部が新設されました。
活動内容はパラスポーツ全般に広げるのではなく、ランニングカテゴリーやシューズ販売を基幹事業としているメーカーとして、「走る・歩く」を軸にしています。本業と親和性のある取組は社内を巻き込みやすいと感じています」
自由に、ともに走る喜び
前述のイベント「東京レガシーハーフマラソン」は、文字通り東京2020大会のレガシーを継承するべく行われるハーフマラソン。第1回大会は2022年10月16日に開催され、第2回大会も10月の第3日曜日に予定されています。
大会パートナーとして今回参加したアシックスの君原さんは、「『東京レガシーハーフマラソン』は障がい者にも広く楽しんでもらう大会として企画されました。日本にはまだそのような大会はあまりありませんでしたのでぜひサポートさせていただきたいと思いました。
そのうえでヒーローといいますか、シンボリックな方に走っていただければ、レガシーの継承やパラスポーツの振興につながるのではないかと思いました。そこで、東京2020大会パラ水泳金メダリストの木村敬一選手(東京ガス所属)と、未来を担っていくZ世代からパラ陸上アスリートとして湯口英理菜選手(日本体育大学)、笹原拓歩選手(日本体育大学)に出走をお願いしました。
それぞれ、ふだん行っている専門種目とは違うわけです。木村選手は水泳、義足を使用するクラスで活躍する湯口選手は競技用車いすに乗ること自体初めて、笹原選手も専門は短距離です。しかしだからこそ、その挑戦が見る人に対してポジティブに働きますし、勇気や、励ましにつながると思いました」
君原さんは、今後も障がい者の参加促進に向けて活動していきたいと語ります。
「東京マラソン」第1回大会が開催された2007年には、都市型の大規模マラソン大会は他には存在していませんでした。しかし、『東京マラソン』は世界的なマラソン大会へと成長し、今では日本全国で、1万人以上が参加する都市型のマラソン大会が開催されています。これは『東京マラソン』が一つの範を示したからだと思います。『東京レガシーハーフマラソン』も多くの障がい者ランナーが参加する大会として実績を重ねていき、それがこの先、全国各地で開催されているマラソン大会にも広がっていくと信じていますし、またそれをサポートしていきたいと思っています」
下肢切断者を対象とした、オットーボック・ジャパン主催の義足イベント「ランニングクリニック2022」では、アシックスがスポーツアイテムを提供する形でサポートしました。オットーボックさんとは、東京2020大会のパラリンピック期間中に選手村の一角で、一緒に活動しました。オットーボックさんは選手が使用する義肢や装具、車いすの修理・メンテナンスを、アシックスはミシンを持ち込み、スポーツウエアやシューズのリペアサービスを行いました。
『ランニングクリニック』は、下肢切断者の皆さんに、スポーツを体験し、走る喜びを感じてもらえる機会を持っていただく企画です。クリニック最終日には、自分自身で走ることで風を感じられる…そんな感動あふれるイベントです。オットーボックさんの趣旨に賛同し、走ること、歩くことを重要視する当社としてサポートさせていただいています」
誰もが可能性を楽しむために
「アシックスワールド駅伝」は、コロナ禍で制限の多い状況下でも、「走ることの楽しさ、そしてゴールする喜びを仲間と共に感じてほしい」という想いから2020年にスタートしたオンラインイベントです。バーチャル上で6人でタスキをつなぎ、42.195kmを走ります。
これまでに、32,919チーム、118,844人に参加いただきました。参加者の走行時間は合計70,000時間以上で、総距離は地球14周以上に相当する578,823kmとなっています。
「アシックスワールド駅伝」は制限時間などがなく、どなたでも参加できる企画なのですが、障がいのある方々にあまり参加していただけていない現状がありました
そこでGoogleさんの研究開発中のテクノロジーの一つである「Project Guideline」を使って一緒に何かできないか・・・という考えからGoogleさんにお声がけしました。
Googleさんから、「誰もが自由に楽しく走れるように」という理念と重なっていることもあり快諾いただき、コラボレーション企画としてイベントを実施することができました。6人の視覚障がいのあるランナーが「Project Guideline」を活用してタスキをつなぎ、伴走者なしで42.195kmを完走しました。6人のランナーのチャレンジとゴール後の笑顔にとても感動しました」
パラスポーツを通じた活動を継続的に実施していく
各種イベントに障がい者の参加を促すためには、どんな課題と解決法があるのでしょうか。君原さんは、「パラスポーツを通じた活動を一つひとつ事例を作りながら継続的に実施していくこと、最終的には自分ごととして捉えていただくことが大切」と言います。
東京2020大会を経て、多くの人がパラスポーツへの認知を深めました。でもそれだけでは共生社会の実現には至りません。障がい者の方々ともっと多くの場を、また時間を共有し、理解を深めていくことが必要です」
君原さん自身はもちろん、社内でも価値観をアップデートしていきたいと話します。
「私は最前線でパラスポーツに関わらせていただいています。そこから得られる気づきや想いを社内にも浸透させていきたいです。そうした中で企業の人格がアップデートされていけば、結果的に事業活動の中でもイノベーションが起こると思いますし、より社会に必要とされる企業へと発展していけると信じています」
そんな君原さんが期待している大きなイベントが「KOBE2024 世界パラ陸上競技選手権大会」です。神戸を起点に、世界的なスポーツブランドへと成長したアシックス。地元企業としてはもちろん、東京2020大会のパートナー企業だったことを誇りに盛り上げたいと熱く語ります。
「やっぱり会場をお客様で満員にしたいですね。世界中の人々に、『東京2020大会は、日本はコロナ禍での開催で大変だったけど、やっぱりオリパラをやった国は素晴らしいね』って思ってほしい。神戸は世界に誇る観光都市ですから、世界中から来たパラアスリートや関係者にも、健常者も障がい者も分け隔てなく受け入れる素晴らしい街だと感じていただきたいです」
加えて、東京都やTEAM BEYONDへの期待も話してくれました。
「TEAM BEYONDは東京2020大会が行われたホストシティとしての役割や、連携の仕方など、たくさんの知見があると思います。日本におけるパラスポーツの旗振り役でもありますし、私たちも巻き込んでいただき、各企業と一緒に盛り上げていきたいですね。これからもよろしくお願いいたします!」
長期的な「VISION2030」に向けても、進化の歩みと走りはこれからも続いていきます。
株式会社アシックス
担当部署 | パラスポーツ企画部 |
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住所 | 〒650-8555 神戸市中央区港島中町7丁目1番1 |
URL | https://corp.asics.com/jp/ |